アルコール依存症 家族ができること

　アルコール依存症では本人ではなく、家族が迷惑や被害を被るケースが多くあります。そんな中、家族の方にできることや”してはいけないこと”を紹介します。

イネイブラーになってはいけない

　本来、本人がやるべきことをあれこれ肩代わりして、世話焼き行動を続ける人のことをイネイブラーと言います。そしてこのような世話焼き行動はイネイブリングと言われます。イネイブルとは「enable(可能にする)」という意味の英語です。アルコール依存症の本人ができないことを手助けしたり、肩代わりしたりすることで、飲酒を可能とし症状を助長させてしまうのです。
　アルコール依存症の家族がやってしないがちはイネイブリングには次のようなものがあります。

• 本人がお酒によるトラブルを起こしてしまったのにも関わらず、家族が代わりに謝罪する。
• 本人に変わって遅刻や欠勤の連絡をする。
• 借金の肩代わりをする。

　このような行動に対して、本人は甘えてしまい、依存症を助長させてしまいます。家族の方は世話を焼き過ぎないよう気をつけましょう。助けたいという気持ちは持ちつつ、対応は専門家に任せましょう。
　=>アルコール依存症の相談

話し合いをするならシラフの時に

　本人と医療機関への受診、外部機関への相談、その後の受診結果について話をすることもあるでしょう。そんなときは必ずシラフの時にしましょう。本人の気が大きくなってできないことも「できる」と言ったり、後で「覚えていない」と言ったりすることがあります。

本人を中心とした話し合いをする

　アルコール依存症になってしまった責任は本人にあります。そして、それを治すことができるのは本人だけです。まずはこのことを伝えましょう。そして、症状の程度や断酒や治療の必要性をできるだけ具体的に伝えましょう。
　しかし、本人を非難するのはよくありません。辛さに対して共感してあげ、今からなら十分治療可能であることも伝えてあげましょう。

家族以外の協力も

　家族だけでなく、医師や知人からも助言をもらうようにすると一層効果的です。医師からは症状の重さや治療の必要性を問いてもらいましょう。知人は誰でもいいというわけではなく、本音で話せるような人が良いでしょう。

DV、ネグレクトに用心する

　飲酒によるＤＶ（家庭内暴力）やネグレクト（育児放棄）に十分注意しましょう。本人に飲酒を注意した結果、暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたりするケースも多くあります。このような問題が起こったら、すぐに親戚や知人に相談しましょう。問題を隠していては状況が悪化していきます。それでもダメな場合は、警察や法律事務所への相談や、別居するなどの対策を考えましょう。