アルコール依存症の原因
アルコール依存症の原因を紹介します。
アルコール依存症は環境的要因、心理的要因、身体的要因などさまざまな要因が重なって発症すると考えられます。
遺伝的要因
アルコールの代謝の良さ(お酒に対する強さ)は遺伝子によって決定されています。したがって、お酒に弱いタイプの人が急にお酒に強くなったりする可能性はほぼありません。アルコール依存症になりやすいのはお酒に強く多飲できるタイプの人です。
心理的要因
虚しさや淋しさ、抑うつ感や自責感、怒りや悲しみなどによって、お酒に手を伸ばしてしまいます。
身体的要因
歯痛や腹痛などの痛み、ダイエットなどによる空腹感を紛らわせるためにお酒を飲む人がいます。それが常態化してアルコール依存症になる人もいます。
社会的要因
文化や風土、職業などが影響することもあります。住んでいる地域が祭り好きだったり、職業柄お酒を飲む機会が多かったりするとアルコール依存症の危険性が高まります。
国によってお酒に対するイメージも異なります。フランスではアルコールは健康によいという考えの人が多く、アルコール依存症を精神疾患とみなしていない医師も少なくありません。イタリアでは食事以外では飲酒することは少ないです。全体的にヨーロッパではアルコール消費量が多く、アジアは総じて少ないということが統計で明らかになっています。
日本では「無礼講」のように本音を語る場として集団で飲酒をする風習があります。比較的日本は飲酒行動には寛容といえる文化があります。
脳で起こっていること
依存症になると”やめたくてもやめられない”という状態に陥ります。これは脳で起こっているメカニズムがそうさせているのです。一連の流れを次に記します。
- 心地よさや気持ちよさを感じると、その行動は脳の快中枢を刺激して記憶される。「お酒を飲むと気分が晴れる」など。
- 快中枢が刺激されると、脳の側坐核が活性化される。
- 脳の側坐核が活性化されると、ドーパミンが大量に放出される。
- ドーパミンが前頭連合野に分泌されると、行動が強化される。ドーパミンには記憶や学習の作用があるため。
- お酒を飲む。1へ戻る。
こういった悪循環に陥ると、依存度が増していき、お酒を辞められなくなってしまうのです。