アルコール依存症の薬「抗酒薬」
アルコール依存症の治療では、断酒を続けるために「抗酒薬」が使われることがあります。
ALDHにはお酒の主症状を抑える作用がある
アルコールを摂取するとアセトアルデヒドという有害な物質が生まれます。アセトアルデヒドは毒性が強く、頭痛や吐き気が現れたり、継続的に体内に溜まることで発がん性物質にもなります。このアセトアルデヒドを分解するために活躍するのがALDHという酵素です。いわゆる「お酒に強い」人はALDHがよく働く人のことです。ALDHの働きの良し悪しは生まれつきの体質によります。
抗酒薬を飲むことでALDHを弱め、あえて「お酒に弱い」状態にする
抗酒薬はこのALDHの働きを弱める作用があります。つまり、これを飲むとアセトアルデヒドを上手く分解できなくなり、「お酒に弱い」状態になります。お酒を飲むと吐き気や頭痛といった症状が現れます。すると、「気持ち悪くて飲めない」という思いが生まれ、お酒を受け付けなくなります。その結果、自然とお酒から離れていくようになるのです。これが抗酒薬を使うことの目的です。
その他の薬
飲酒欲求を抑える「アカンプロセート」
2013年6月、日本では実に30年ぶりのアルコール依存症の新薬として、「アカンプロセート」が承認されました。
アルコール依存症の人の多くは、脳内伝達物質のひとつであり飲酒欲求を高めるグルタミン酸が過剰になっています。アカンプロセートにはグルタミン酸の働きを抑える作用があり、これによって飲酒欲求を抑える効果があります。
アカンプロセートは、断酒がある程度できている人に効果があるとされています。副作用として主に下痢が現れることがあります。
抗不安薬
中枢神経に作用して、不安を抑える薬です。治療の解毒期に離脱症状を抑えるために使われます。
抗精神病薬
中枢神経に作用して、幻覚や妄想を抑える薬です。治療の解毒期において、幻覚や妄想が強い場合に使われます。
睡眠導入薬
治療の解毒期において、不眠対策として使われることがあります。
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